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「ナツキ。用意ができた。いつでもいいぞ」
ジューダスは手にした神槍で地面に大きな魔法陣を描いた。相生・相克を意味する陰陽道における"木"・"火"・"土"・"金"・"水"の五行思想を中心に、"昇華"と"退化"を上下にし、"陰"と"陽"の因子で挟む。陰陽五行とは違う構造ではあるが、琉球神道からあえてずらす術式を西洋の神具を触媒に展開させた。
あまりにも歪な結界。昨晩、夏喜が麗蘭と別れた後に結界図の下地を見せられたジューダスだが、あまりにもねじれた構造に頭を捻った。これでは鈴蘭に危険が及ぶ可能性を指摘するも、『わたしに任せなさい』と強行された。
「鈴蘭、手首と足首にコレを付けて」
夏喜が鈴蘭に手渡したのは、和紙でできた更紙であり、両面テープで固定する簡素なもの。だが、内側の中心にはルーン文字による祝詞が刻まれている。これが鈴蘭を護るための護符となると付け加えた。
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