Paragraph 10/解呪ノ儀(1)/Rut Of Hope

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/// 「――やはり、あの『影』は危険だ」  儀式が始まる前。昼過ぎのホテルの一室で儀式の準備をしている夏喜に対してジューダスが口を開く。  前夜の出来事から、一度状態の落ち着いた鈴蘭は麗蘭と自宅に帰し、準備ができ次第迎えに行く手筈となっていた。その前準備として、不確定要素を排除するために午前中を使って鈴蘭には内緒で調査をした。  秘密の調査――鈴蘭と共に"肝試し百峠"をしたA子とBパイセンからの聴取。いくつか確認したい事実があったが、夏喜が思った以上に危険な情報だった。  浦添(うらそえ)城址から首里(しゅり)城に向かう道中のトンネル。あのトンネルに対し、影は異常なまでの反応を見せた。そして、そのトンネル内にあった事故の跡。その2つが関係しているのかもと思っていただけに、A子とBパイセンへの聴取は無駄ではなく、むしろ大きな成果だった。 「危険は危険よ。だからこそ、今日で決めるわ。『(かれ)』は野放しに出来ない。鈴蘭の人生は必ずどこかで破綻してしまうもの。鈴蘭が知らぬところで起こる怪異は、全部彼女を護るため。けれど、さすがにはやりすぎだ」
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