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「別に。わたしは正義の味方じゃあない。誰も彼もは救えない。ただ、依頼を受けたのなら、それを遂行する責任ある大人ではある。わたしは仕事は投げないビジネスウーマンだからね」
カチリと、撃鉄が上がる。もとより暗殺向きの銃であるデリンジャーに装填された実弾は、この距離ならば十分な殺傷能力がある。
ローワン牧師は首から掛けた十字架を握った。自らの悪事はまだ公にはなっていないのに、それら全てを悟られ、数秒後には脳漿を撒き散らしている幻覚を見るほど、夏喜の目に感情はなく、金属の冷たさがより一層それを強固にした。
「神頼みか、ローワン牧師。命を張るギャンブルは苦手かな。だが、祈る神は慎重に選べ。六十億いる人間全ての祈りを丁寧に聞けるほど神は暇じゃない。件の神はいつも忙しい。君の祈りを届ける先が留守じゃないといいな」
「――そこまでにしておけ、クラヤマ」
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