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「なるほど。初めからわたしだけは警戒していたね。いや、見事だ。君からすれば、わたしは鈴蘭から君を引き剥がすための敵に見えたことだろう」
「――」
「そう言われても、わたしは君を置いてはいけない。姉である鈴蘭を護りたい気持ちはよく分かる。けれど、それは君の性質じゃない。いらないものを遺伝している。少なくとも、それは君にはいらないものだ」
「――」
「わたしを殺す、かな。やめてくれ。これでもわたしにだって子供がいる。わたしが死ねば、その子が困る」
「――」
「嘘じゃない。行為がなくとも子供はできる。神の子なんて奇跡の処女妊娠だ。ほら、歴史がそれを語っているよ」
「――」
「堂々巡りだな。君のクリプトナイトはどこにあるんだろうね。いやこっちの話だ。んー、ならどうだろう。わたしと勝負をしないか」
その言葉にジューダスの眉が上がった。儀式の最中、ジューダスも口を開くことを控えている中、彼の視線は、余計なことはするなと訴える。そんな心配を他所に魔女は言葉を続けた。
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