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「ジャンケンなんてどうだ。シンプルでいいだろう。鬼ごっこでもいいぞ。自慢じゃないが、足には自信があるからね。モーリス=グリーンの100倍は速いぞ」
「――」
「強情だね。なら、そうだな・・・・・・」
魔女は両手のひらを合わせて自らの口に当て、目を瞑る。自らの言葉を噛みしめるように、これから吐く言葉を間違えないように、少しの沈黙のあと、――
「――君も子供じゃないからはっきり言う。君は危険だ。このままでは君は鈴蘭を苦しめる。だからわたしは今から君を祓う。全力で行く。恨みっこなしだ」
一歩、夏喜が足を進めて結界の中に入る。ジューダスが駆け寄ろうとするが、夏喜は手を向けてそれを制した。
「わたしと、『彼』との勝負だ。邪魔はしないでくれ」
相対する影との体格差はおよそない。けれど、人の形をしているがその力は人以上であることは体験済み。それでも、夏喜の構築した手段は変わらない。
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