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――大丈夫、強化していたおかげで骨は折れてない。なら内臓も大丈夫だ。下が芝生で助かった。けど、全身打撲はイッたいな!
向き合う状態になり、影が走り出して距離を詰める。
それに答えるように夏喜も走って跳び上がり、両足で影の頭を挟み込むと、バク転の要領で回転して脳天を地面に叩きつけた。
相手の前進運動すら回転に転用することで、人ならば昏倒必至の衝撃がある。けれど相手は影。何事もなかったかのように起き上がる。
「ですよねー。知ってた知ってた」
初めのタックルすら無力化する形態変化能力を持ち、それでいてダメージがあるのかないのかもわからない。再び正対することとなるが、次の攻撃に転ずる前に、――
「――『黒鉛の番、アシュライ・クラフトの門番、十三の城壁よ、秤と枷の審判となれ』――
魔力を練り上げ呪文を唱える。握りしめた左手に、対象者の動きを一時的に拘束する術式を施し、右手にはポケットから取り出したデリンジャーを手の中に収めた。
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