Paragraph 11/解呪ノ儀(2)/It's All Over Now, "Black Lily"

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 ――大丈夫、強化していたおかげで骨は折れてない。なら内臓も大丈夫だ。下が芝生で助かった。けど、全身打撲はイッたいな!  向き合う状態になり、影が走り出して距離を詰める。  それに答えるように夏喜も走って跳び上がり、両足で影の頭を挟み込むと、バク転の要領で回転して脳天を地面に叩きつけた。  相手の前進運動すら回転に転用することで、人ならば昏倒必至の衝撃がある。けれど相手は影。何事もなかったかのように起き上がる。 「ですよねー。知ってた知ってた」  初めのタックルすら無力化する形態変化能力を持ち、それでいてダメージがあるのかないのかもわからない。再び正対することとなるが、次の攻撃に転ずる前に、―― 「――『黒鉛(こくえん)(つがい)、アシュライ・クラフトの門番(もんばん)十三(じゅうさん)城壁(じょうへき)よ、(はかり)(かせ)審判(しんぱん)となれ』――  魔力を練り上げ呪文を唱える。握りしめた左手に、対象者の動きを一時的に拘束(スネア)する術式を施し、右手にはポケットから取り出したデリンジャーを手の中に収めた。
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