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魔術的なものであれば、"撃ち抜く"ことで破壊する。非実体である影であろうと関係がなく、文字通り有象無象を区別することなく攻撃が可能である。
「もういっちょう!!」
再度振り上げた右手。手の中のデリンジャーに魔力が凝集し、さらなる一撃の撃鉄を上げる。
影の動きには隙がある。おそらく、あと数秒は『金色鎖縛』の影響下にあるだろう。はじめに右手の甲で弾いた際に『弾貫』の効力に確信していた。打つ手ならある。ならば、この勝負は負けることはない。そう思った刹那、――彼女の視界は変質した。
虚ろな瞳で視界が揺れる。振り下ろそうとした拳は止まり、内臓の中からこみ上げてくる吐き気に身体が硬直した。全身の毛穴が開くような不快感と寒気に脂汗が流れる。
――マズい、発作だ。なんでこんな時に・・・・・・。
魔女の見ている風景に砂嵐が混じる。混線した視界に――強い雨が降っている。その中で、燃えてる車が見えた。道幅は広い。見覚えのある誰かが戦っている。剣戟が火花を散らし、異形な相手の断末魔が響いた。
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