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「ナツキッ!!」
結界の外から魔女を呼ぶ声がした。その声が誰のものか判断できないほどの状況に、――
「ぐぅっ――!?」
腹に受けた衝撃で口から空気が漏れる。視界が狭まり、足元から地面が消えた。強化しているはずの肉体に容易に穿通する痛みに意識が削られる。先程感じた吐き気を後押しするような衝撃に胃液が口から溢れた。
女の体は軽い。蹴り飛ばされたボールのように地面を転がり、防御が不十分だったための激痛で動けない夏喜に駆け寄ろうとジューダスが動く。手にした神槍に魔力を注ごうとするも、――それよりも速く、影が氾濫した。
結界を満たす黒い水のように、動けなくなった夏喜も、結界の中心で肩を震わせながら祈りの形を崩さない鈴蘭もろとも飲み込む。結界内に入ろうとしたジューダスは阻まれ、数秒で影は結界の中を満たした。
_go to "Love Is Over"".
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