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「ナツキ、もう静観はなしだ! 無理やり終わらせるぞ!」
神槍を手にしたジューダスが球体と夏喜の間に割って入る。低く垂れた穂先にはすでに電気が跳ねるほどの魔力が収束していた。
「相手は影だぞ、ジューダス。油断するな」
「ああ、やりにくい、な!」
2人の会話を裂くように、ジューダス目掛けて影の一部が飛び出す。
刺し穿つように襲うそれを払い、その隙を埋めるかのように二撃目が迫る。ジューダスはそれを返しの刃で弾き落とし、更に増えた三撃目と共に弾かれた初撃と二撃目も同時に襲いかかった。
「スズランと共に結界を出ろ! 護りながらでは手が足りない!」
影の猛襲を躱しながら攻撃を弾いているジューダスの神槍は一層輝きを強め、全身を巡る魔力により肉体の反応速度をあげていく。同時に迫る三連撃をいなし、夏喜たちの壁になるよう移動する。
ジューダスの声を聞いた夏喜は鈴蘭を強く抱きかかえ、一直線に結界の外を目指して駆けた。
それを、――鈴蘭に取り憑いていた影は逃さない。
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