Paragraph 13/解呪ノ儀(3)/Lost Child

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「ジューダス! 祓うぞ!」 「――『(おか)へと(のぼ)れ、ミストルティンの(ひつぎ)(かつ)げ!  (おか)へと(のぼ)れ、(なんじ)()(きざ)んだ十字架(じゅうじか)(かつ)げ!  天地(てんち)よ、天使(てんし)よ、大天使(だいてんし)よ、  (ちち)なる(かみ)よ、預言者(よげんしゃ)よ、(かみ)使徒(ししゃ)よ、  殉職者(じゅんしょくしゃ)よ、告白者(こくはくしゃ)よ、(きよ)めし処女(おとめ)よ、(いの)りを(かか)げよ!  (けが)れを(はら)え!  (あく)(はら)え!  ()(はら)え!  葡萄(ぶどう)とパンを()ち、その()(さけ)べ!』――」  ジューダスが悪魔祓い(エクソシズム)の呪文を紡ぐ。"名"のない影に対する未完成な(はらい)の祝詞に神槍の穂先が眩く輝いた。  影の周囲を取り囲むように赤い魔法陣が出現する。その効果は祝詞による束縛であり、修祓(しゅばつ)のための門を開く。 「――善蘭(ぜんか)・・・・・・あの子の、名前です・・・・・・」  夏喜に身体を預け、痛みに耐えていた麗蘭が口を開く。あの子とは――彼女が自らの腹に宿し、そして消えた我が子に他ならない。 「――『善蘭(ゼンカ)よ! ()えし(もの)よ、(てん)(あお)げ!  善蘭(ゼンカ)よ! 宿(やど)されぬ(もの)よ、(こうべ)()れよ!  善蘭(ゼンカ)よ! その(みそぎ)(あらた)め、(なんじ)()(きざ)み、(さけ)べ』――!!」
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