Paragraph 13/解呪ノ儀(3)/Lost Child

6/7
前へ
/212ページ
次へ
 悪魔ではない影に対し、ジューダスは。本来なら(けが)れし(もの)失墜者(おつるもの)追放者(ながれるもの)をそれぞれ悔い改める三構成の終の祝詞となるが、あえて別のものに変換し、悪魔祓いの形を成した。  赤い魔法陣のそばで、赤い十字架が八つせり上がる。それぞれが(ゼンカ)の方を向き、次第に白く変化していく。  実体化のまま拘束されていた(ゼンカ)は、徐々にその形状を崩壊させていく。桜のように散っていく姿を見つめる三人。その中で、―― 「――消えないで!」  結界の外から、意識を取り戻した鈴蘭が声を荒らげた。消えていく自らの片割れに、涙を流して訴える。 「消えないで! うちを置いていかないでよ! ずっと一緒にいたんだったら、最後まで一緒にいてよ!」  それが鈴蘭の心からの願いだと、共に産まれるはずだった片割れ(ぜんか)への、初めての言葉。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加