Paragraph 13/解呪ノ儀(3)/Lost Child

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「ジューダス! を!」  夏喜が懐から取り出して投げたのは、ヒビの入った小さな箱――桐で出来た鈴蘭のへその緒がはいった臍帯箱(さいたいばこ)。それを受け取ったジューダスが、神槍の穂先で"X(ギューフ)"と刻んだ。 「――『(あま)逆月(さかづき)()万象(ばんしょう)、  彼岸(ひがん)()てに(めぐ)船出(ふなで)、  ()()(さき)に、新芽(しんめ)()け』――」  ほとんど塵となって消えようとしている(ゼンカ)へと、ルーン文字を刻んだ臍帯箱から一条の光が繋がる。  麗蘭の子として名を与えられた消えた我が子。鈴蘭と善蘭のつながりを、彼女のへその緒を触媒にして接続し、―― 「行かないでっ!」 「麗蘭! 名前を呼べ!」  娘の絶叫を、息子の名前を呼ぶように促された母が、静かに口を開く。 「――おかえりなさい、善蘭」 _go to "Qué Será, Será".
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