Paragraph 14/ナンクルナイサ/Qué Será, Será

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 今まで善蘭の存在を知覚できていなかった鈴蘭ではあるが、結界内で氾濫した影に飲み込まれたことでわずかだが霊感に耐性ができたのか、今では自身につながっている善蘭の存在を認識している様子である。 「いやぁ、疲れたね今回。全身バッキバキだし、打撲だらけだよ」  影に振り回された夏喜の身体には無数の打撲痕が残っていた。全身に巻いた包帯に治癒促進の術式を組み込むことで、無理のない治療を行っている。 「けど助かったよ、ジューダス。やっぱり悪魔祓いは君の管轄だ」 「お前、・・・・・・他に言うことがあるんじゃないのか」 「おや? 何のことかな?」 「とぼけるな。、――お前は確かに」  ジューダスの言う――善蘭の影が夏喜を挟み撃ちにした時、直撃の瞬間に夏喜の姿が消え、瞬きの間に背後を取っていた。あの行動自体、ジューダスにとって不可解なものだった。  なぜなら、ジューダスが使用できる瞬間転移とはかけ離れた術式だったためである。
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