Paragraph 14/ナンクルナイサ/Qué Será, Será

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 彼の瞬間転移は、いうなれば光の如く高速移動で説明がつく。無詠唱の場合は移動しようとする先に魔力によるほころびが出る。詠唱込みの場合、そのロスが極限までなくなることで、擬似的な転移が可能となる。  だが、夏喜が使用したものは、そのどちらでもない。少なくとも、ジューダスからはそう見えていた。コンマ1秒に満たない時間だが、確実に夏喜は世界から消失していた。 「そうだったかしら。転移は転移さ。あれだけギリギリを攻めたんだ、少しくらい消えることもあるんじゃない?」 「馬鹿言うな。それこそ異常事態だ。お前、何か隠しているだろう。そうだと言え」 「な、なによ。珍しく食い下がるじゃない。解決したんだからいいじゃない別に」 「お前、人の心配をそれで片付けるな。少なくとも、その後の動きが鈍った件もだ。あれでは、命がいくつあっても足りんぞ」 「あー。発作ね。あれ困るよね。あれはまじ焦った」  適当に話す夏喜に半ば呆れているジューダスの前に、見覚えのある人影が2つ現れた。
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