Paragraph 1/アルス/The Fang

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「――『深淵(しんえん)より()えよ、(きば)使(つか)い。  深淵(しんえん)より()えよ、冥界(めいかい)(おと)()。  深淵(しんえん)より、――(いた)れ、超越(ちょうえつ)より()まれし(はじ)まりの使徒(しと)よ、()たれ』――!」  幾何学模様の魔法陣の中心に、目には見えない何かの存在が集約される。その存在と、夏喜の魔炉には、確かな繋がりが出来つつあった。 「何を、しているの……?」  事態を飲み込めない宗次郎の目には、地面の模様が励起により赤く光って見えていた。ただそれだけでも常軌を逸している。肌に感じるわずかな違和感は、生命としての危険信号だと、理解せずとも反応していた。 「――『アストワント』――! さあ、こっち(デリンジャー)においで!」  夏喜が手を叩く。勢いで掌の血が飛び散るが、傷の痛みを忘れるほど、彼女は高揚していた。裡に感じる繋がりこそが、事の成功を物語っている。
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