Paragraph 2/いざ、カクヒエヴァへ/Hot Spot

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Paragraph 2/いざ、カクヒエヴァへ/Hot Spot

 宗次郎はアルスの毛並みを堪能するために背中に抱きつき、アルスも満更でもない様子だったため、夏喜とジューダスは居間に座り資料を広げた。   「――さてと、純子(タイプワン)の召喚も済んだことだし、次は()()だな」  時折夏喜に訪れる発作――強烈な動悸と視界混濁に一時的に身動きが取れなくなる症状は、彼女の幼少期から続いている。  始まりは彼女自身覚えておらず、気付けば起こるようになっていた。 「タイミングが読めればいいんだけどな。てんかんみたいに薬で抑えれるものでもないし……」 「お前、楽観的すぎないか」 「なんだか慣れちゃって。たぶん、魔力量に影響されてるとは思うんだけど、最近頻度増えたかな」  先日のイギリスと沖縄での発作は、タイミングが違えば命に関わる事象である。ジューダスの心配は、夏喜自身がそれを作戦の算段に考慮していないと思われるからであり、事実彼女はそうしていない。 「起きてしまうことは仕方がない。……とはそろそろ言えないよね」  今の夏喜は宗次郎を守るという任務もある。彼女は今は一人ではなく、親としての役割も担っているだけに、行き当たりばったりの作戦に限界が来ていた。
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