<PROLOGUE/撃砕雷霆>

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「――『黒鉛(こくえん)(つがい)、アシュライ・クラフトの門番(もんばん)十三(じゅうさん)城壁(じょうへき)よ、(はかり)(かせ)審判(しんぱん)となれ』――  四節の詠唱に弾丸が呼応する。レミントン・ダブル・デリンジャーのグリップに埋め込んだ宝石内で、新たな術式が構築され、錬成した弾丸へと導入(インストール)された。  狙うは――悪魔に惑わされ魔物と化した、死を超越し、死を冒涜した悪霊使い。 「あれはすでに人の負える存在じゃないぞ、ナツキ。悪魔祓いの術式でなければ、あの存在は消えない。一度体勢を・・・・・・」  ジューダスと呼ばれた、暗く蒼い修道服を着た男が口を開いた。手には、穂先が禍々しい造形をした槍のようなものを握り、目の前に蠢く悪魔を睨んでいる。 「エクソシズムは君の管轄だろ。聖職者なら、これくらいしてもらないと困る」  制止の言葉は聞けない。ナツキ――倉山(くらやま)夏喜(なつき)にとって、引くという選択肢はすでにない。
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