Paragraph 2/いざ、カクヒエヴァへ/Hot Spot

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「まあ、ジューダスのようなタイプには縁はなさそうよね。そういうのが得意な相手なら、多分その前に勝負ついてそう」 「それは褒めてるのか」 「どっちとも。そのときにならないとわからないわ」 「電話~。電話だよ~」  犬の背に抱きつく猿のような組み合わせで宗次郎とアルスが夏喜の携帯電話を持って近づいてくる。着信画面にはアイナと表示されていた。 「ありがとう宗次郎。にしてもすごい懐きようだな」 「もふもふ~」  宗次郎から受け取った携帯電話の通話の開始ボタンを押して受話口を耳に当てた。 「も」 『ななななナッちゃん! 日焼け止め持った!? 絶対忘れないでよ!』  あまりの爆音に夏喜の鼓膜が吹っ飛んだ。 ///   「終始意味不明だったな」  慌てた様子の藍那であったが、内容が読み取れないほど一方的に捲し立てられ切られた電話は、まさに青天の霹靂であった。 「アイナは相変わらずか。平和で何よりだ」 「わたしの耳はグラウンドゼロだよ。それよりなんだよ日焼け止めって。今は二月だぞ」 「そういうときは、何かの吉兆だろう」 「嘘でしょ。凶兆でしょ。ほら来た。名無しからの着信よ」  夏喜の携帯電話のディスプレイには非通知と表示されている。
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