Paragraph 2/いざ、カクヒエヴァへ/Hot Spot

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 翌日、空港のフロアにて。 「ナッちゃ~ん! こっちこっち~!」  フロアに到着するやいなや、藍那の声が響き渡る。  空港の巨大な電光掲示板の下には紫桃家の三人がキャリーケースを持って待機していた。   「やっぱりね! 知ってたよ!」 「ん? どういうこと?」 「君ね! また使ったな! じゃなきゃ先回りで電話しないだろ!」 「ええ~? 知らなーい。パパから連絡きただけだも~ん」 「アイナママ、おじいちゃんより先にナッちゃんさんに電話してたよ」 「あ、あーちゃんダメ! バレちゃうバレちゃう」 「……もういいよ。日焼け止めあたりから怪しかったから。それで、君がメッセンジャーということでいいんだな藍那」  ふっふっふっと小物感あふれる笑い声とともに藍那がポケットからチケットを取り出す。枚数にして六枚。紫桃家と倉山家のものとしっかり分けられていた。 「なんでファーストクラスなんだよ。君、まさか」 「ん~? なんのこと? それより宗ちゃんおはよ~。ジューダスさんも」 「おはようございます~」 「ああ、おはよう。三人とも息災で何よりだ」  宗次郎と葵は久しぶりに顔を合わせたことで大人たちのそばでキャッキャしていた。宗谷は電話で誰かと連絡を取っている。
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