Paragraph 3/御用改めであるⅠ/X-OUT

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「使い魔から転送されてきた情報では一瞬だけ人影を捉えている。見た感じ、東洋人の男性と言ったところだ」 「ふーん。それはわたしにも見せてくれるの? わたしも一応東洋人だけど」  夏喜は自分の立場を十分に理解している。彼女はあくまでも派遣された魔女に過ぎず、ましてや管轄違いの魔法協会の領域である。第一と第五の重役が絡んでいるとはいえ、北アメリカ大陸を拠点とする第三魔法協会としては、外部の魔術師に事細に情報が共有されることは好ましくない。そのため、夏喜は出しゃばることはせず、必要とあらば協力をする心構えであった。 「私の権限ではなにも。といっても、我々もまだ何も掴んでいない」 「君たちの目的は? なにか理由があって動いているし、だからわたしが派遣されたんでしょ?」 「詳細は言えないが、標的は魔術結社X-OUT(クロスアウト)に関することだ」 「聞かない名前ね。けど、協会が徒党を組むぐらいだから厄介なことをしてそうね」  一瞬、夏喜の対応をしている魔術師の表情が曇る。近くにいた魔術師からも指すような視線が夏喜に向けられた。それを受けて夏喜が両手を上げる。
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