Paragraph 3/御用改めであるⅠ/X-OUT

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「失礼。悪気はないわ。けど、結局わたしにはまだ情報はくれないのよね。なら静かに待つわ」 「……いや、共有できるところまでは今する。X-OUTは去年の頭から活動が活発となった南米を拠点とする魔術結社だ。目的はよくある神秘の蒐集だが、厄介なことは他にもある。南米カルテルをスケープゴートにしている形跡があった」 「? 魔術結社が麻薬となんの関係が?」 「近年アメリカで流通が確認されたもので『赤薬(ベルセルク)』というものがある。アッパー系のものだが、毒性が高く、急性中毒からの死亡例が散発している。その『赤薬』の出処という情報がある」 「そこまでわかっていて、今はどうしたいの?」 「それは言えない。我々も()()()だ」 「――いいじゃないか。話してやれよ」  二人の間を割る声。夏喜はその声を聞いただけでことの重大さを認識した。 「君がいるってことは、まじで一大事じゃないか、()()()」  黒色のコートで身を包んだ大柄の男。全身に夏喜と同様の紫煙の匂いをまとっていた。
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