<PROLOGUE/撃砕雷霆>

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 ――悪魔とは。人を誘惑し、失墜を先導する事象。  形は何だって良い。結果だって何だって良い。人の闇堕ちこそが悪魔の所業であり、存在意義である。  その形が、今回は子供を触媒としたアンデットの腹となった。  悪霊使いの雄叫びが空気を震わす。湧き上がる悪意は触れるもの全てを闇に染め、鍋底の焦げよりもひどくこびり付く。発生が人の多いところであれば、きっと誰も救えない。  けれど、幸いなことに、今この場には生きた人間は倉山夏喜一人しかいない。彼女のそばに立つ男は人ではなく、彼女が青い魔石を触媒にして召喚した過去の人物――幻想騎士(レムナント)・ジューダス。  魔法の一端で受肉させた、奇跡の形。その彼が手にする太陽神の神槍の穂先に電気が跳ねた。  悪霊使いが振るう腕が、夏喜とジューダスに襲いかかる。目の前にいる敵を駆逐せんと猛襲し、生み出された悪霊が広範囲にも及ぶ津波のようになだれ込んだ。
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