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それを、隙間を縫うようにして夏喜が躱す。避ける。わずかに捉えた標的にトリガーを引く。一条の弾丸は吸い込まれるように悪霊使いを貫き、夏喜が詠唱により付与した術式が展開された。
――拘束術式『金色鎖縛』。光の鎖が巨大化しつつある悪霊使いの全身を縛り上げ、周囲に撒き散らしていた悪意を封じ込めた。
並の魔物ならば、この術式が発動した時点で強制封印が完了する。悪魔祓いに必要である対象者の名を介せず地縛の拘束具となるが、相手は新生の悪魔。
悪魔の強さは新生時と恐怖の蓄積により左右される。
悪魔は新生期を経て休眠期に至り、そこで蓄積された恐怖により覚醒期を迎え、以降は封印されない限り休眠期と覚醒期を繰り返す。悪霊を従えるタイプの悪魔は恐怖の温床になりやすい。強力なタイプだからこそ、今ここで抑えなければより被害が拡大すると拘束するが、全身を縛る光の鎖を断ち切ろうとしていた。
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