里から旅立つ吾郎

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里から旅立つ吾郎

三姉妹の母親と話をする吾郎。 三姉妹たちの父親は少し離れた大きな町で出稼ぎをしていて、年に数回しか帰ってこないそうだ。 「それは大変ですね」 「いえ。でも、勇者様から結納金を3億円も頂いたので私も夫と町で暮らします」 「なるほど」 「イミーさん、この家は?」 「トムーさんが使う?」 トムーは三姉妹の父親の兄らしい。 「いや、俺はゴロー様の従者として旅に出るからな」 「そうなの?」 「ああ」 (いや、そんな約束はしてないけど) 「じゃあ、どうしましょうか」 「親父に言っておく」 「お願いします」 「分かった」 「勇者様、旅に出るのは明後日までお待ちいただけますか?」 「え?」 「用意とか、里の人への挨拶とかあるので」 「あ、そうですね」 「ありがとうございます」 「いえ」 三姉妹たちが、くノ一衣装に着替えてきた。 「ゴロー様、どうですか?」 「うん。よく似合ってる」 「ありがとうございます」 「この服、凄く快適です」 「とても動きやすいです」 「うん」 (まあ、女忍者の衣装だし) 晩ご飯をご馳走になり、お風呂にも入らせてもらい寝る時間になった。 「えっと……どうしてみんなが同じ部屋にいるのかな?」 「どうしてって、今夜は初夜ですよ」 「まだ正式に結婚は」 「プロポーズを受け入れた時点で結婚成立ですよ」 「そうなの?」 「はい」 「なるほど。でも、3人同時に初夜を?」 「「「はい」」」 (おい、やれるのか? 俺の息子よ) 「それは置いといて、トムーはなんで?」 「私はゴロー様の従者です。いつも側に控えております」 「いや、隣の部屋にでも」 「私は部屋の隅でゴロー様が止めるまで腕立て伏せをしてますので、ゴロー様は私の事は気にしないでセックスしてください」 「いや、気にするよ」 「勇者様なのに?」 「勇者は従者が同じ部屋にいてもセックスするの?」 「もちろんです」 「エミーもアミーもユミーも、トムーに見られて大丈夫なの?」 「おじさんの事は腕立て伏せをしている岩だと思いますから大丈夫ですよ」 「そう、おじさんは動く岩だね」 「うん」 (おいおい、マジかよ……郷に入っては郷に従えか) 「分かった。俺も勇者だ」 「それでこそ勇者様です」 「うむ」 トムーが腕立て伏せをする横で、三姉妹たちとセックスした吾郎。 事が終わり、三姉妹たちは失神して寝ている。 (……セックスって、凄く気持ち良いんだな。男でもこんなに気持ち良いなら、女は) 失神して寝ている三姉妹を見る吾郎。 (美人用のカツラがあったな。あれを被ると女性になれるのか?……ちょっと試してみるか) トムーを見る吾郎。トムーは一心不乱に腕立て伏せをしている。吾郎がカバンを持っても気づかない。 (おい、従者で見張り役なんだろ? カバンを俺に取られてるぞ) カバンを開けて美人用のカツラを被ろうとした吾郎。 (あれ? 被れない。イケメン用のカツラが邪魔してるのか?) 一旦、全部のカツラを外してから美人用と若者用、魔法用のカツラを被った吾郎。 (あっ。何でかしら? トムーの筋肉を見てたら子宮がうずいてきちゃった) 完全に女性化した吾郎は三姉妹に朝まで起きない魔法をかけ、トムーにも催眠魔法をかけた。 「トムー、腕立て伏せを止めなさい」 「はい、勇者様」 「私を1時間、好きに抱きなさい」 「はい」 「1時間後にトムーは寝ます。起きたら私とのセックスは忘れなさい」 「分かりました」 女性化した吾郎はトムーとセックスした。 1時間後、トムーは満足した顔でスヤスヤと寝ている。 元の若いイケメンに戻った吾郎。本当の元の姿は禿げ散らかした中年のおっさんなのだが。 (……女性って、こんなに気持ちが良いのか。気持ち良すぎて死ぬかと思ったぞ。トムーのおっさんとセックスするのはアレだけど。まあ、気持ち良いなら我慢するか) 吾郎は役者をしていたから、気持ち悪そうな男とキスしたり抱かれる役もしたことがある。なので、トムーとセックスをしたことに、そんなに嫌悪感は抱かなかった。 「さて、俺も寝よう」 三姉妹とセックスして、さらにトムーに思いっきり抱かれた吾郎。スッキリすっかりと満足して朝までぐっすり寝たのだった。 ・・・・・ 里を出発する朝になった。 「お義母さん、荷物はそれだけですか?」 「はい。町で新調します。お金はたくさんあるので」 「なるほど」 (まあ、結納金で3億円をあげたもんな) 荷車を引くトムー。自動車みたいな乗り物は無くて、馬車は金持ちや貴族とかが乗るくらいらしいのだ。 「町までどれくらいですか?」 「30キロくらいですかね」 「歩きなら遠いですね」 「そうなんです。なので、夫も年に数回しか帰ってきません」 「それは寂しかったですね」 「慣れましたけどね」 (まあ、週末の休みに往復60キロを歩くとか俺も嫌だな。週休二日制でも歩くだけで休みが終わるぞ) 「そう言えば、盗賊とか出ないんですか?」 「盗賊?」 「旅人や里を襲って金品を奪ったり女性を拐ったりとか」 「そんな事をすると天罰がありますよ」 「え?」 「それに、正当な理由なく人に危害を加えると、10倍返しで返ってくるので」 「えっと……それって、他人を1センチ切ったら自分は10センチ切れる。みたいな?」 「そうです」 (うわー、10倍返しか。それは怖くて犯罪はできないな) 「では、金品を盗ったり女性を誘拐とかしたら?」 「その程度によって、天から雷が頭に落ちます」 「……それ、程度によっては死にません?」 「普通に死にます」 「そうですか」 「はい」 (天罰システムか。どんな仕組みか分からないけど、それなら犯罪は怖くてやれないだろうな)と吾郎は思った。
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