赤点前夜

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 ぷひゅんっ  聞いたことない音がしたと思ったら、袋の裂け目、その少し上に小さい玉が浮いてる。そしてその玉はすぐに真ん中からパカッと割れて、「おめでとう! アタリだよ!」と書かれた小さな垂れ幕が紙吹雪と一緒に出てきた。 「え……何これ……浮いてる……?」  どういう仕掛けかわかんないけど、百円のアイスのクオリティーじゃない。  触ろうと手を伸ばした瞬間、くす玉は音もなく消えた。そしてその向こうに知らない人が立っていた。 「!!」  全身の皮膚に痺れが走るほど驚いた。危うくイスから転げ落ちるとこだった。  声も出せないでいると、その人は一歩僕に近づいて、無表情で言った。 「おめでとうございます、小牧陽太(こまきようた)さん」 「え、え……何で、僕の名前──」  しどろもどろに言いながらも気付いた。慌てて袋を見る。  メイド服からエプロンだけ外したような服、黒髪ボブのメガネッ子……。 「え……この写真の人……?」  訊くと無表情にこくりと頷く。 「初めまして、女鹿根津子(めがねつこ)と申します」 「まんま!」
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