赤点前夜

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 思わずツッコんでから写真と本人を見比べる。 「あの……芸能人? モデル? 実在する人、ですよね……?」 「いいえ、私は……ほら、そう、アイスの精。アイスの精です」 「その言い方は絶対違うよね?」 「そんなことより」  また一歩近づいてくる根津子さん。 「アタリを買った小牧陽太さんには、願いを三つ、叶えて差し上げます」 「は……願い?」  急に色々起こり過ぎて混乱する僕にお構い無しに、根津子さんは話を進める。 「そうです。お金でも物でも、この世に存在するものなら何でも出します。  ちょっと実現は不可能なことでも、それに見合った金銭か寿命と引き替えに叶えることができます」 「じゅみょう!?」  それはもうアイスの精じゃなくてアイスに取りついた悪魔とかじゃ……。 「さあ、小牧陽太さん。叶えたい願いを」  根津子さんの無表情が僕を見下ろしてくる。
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