10人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
スマホから、坂道を登る彼女の荒い息が聞こえて、ちょっとドキドキする。
「私・・・トンネルの・・・入り口に・・・着いたわ・・・あなたは・・・今どこ?」
ぼくは自転車を停めた。
「うん、ぼくも入り口に着いた」
ぼくはこっち側、彼女はあっち側のトンネルの入り口に着いたってこと。
「じゃあ、そっちに向かうから」
「私もそっちに行く。スマホは切らないで・・・」
ぼくは自転車を置いてこっち側から、彼女はあっち側から同時にトンネルに入った。
「今どこ?」
「トンネルの中、そっちに向かってるわ。あなたは?」
「ぼくも向かってる」
ぼくたちは電波が悪い中「今どこ?」って確認しながら、トンネルをお互いのいる方へ進んだ。暗闇で出会ったら、ちょっと脅かしてやろう。そして彼女が怖がって抱きついてきたら、初めてのキスをするんだ!
最初のコメントを投稿しよう!