ハウリング・パス

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 スマホから、坂道を登る彼女の荒い息が聞こえて、ちょっとドキドキする。 「私・・・トンネルの・・・入り口に・・・着いたわ・・・あなたは・・・今どこ?」  ぼくは自転車を停めた。 「うん、ぼくも入り口に着いた」  ぼくはこっち側、彼女はあっち側のトンネルの入り口に着いたってこと。 「じゃあ、そっちに向かうから」 「私もそっちに行く。スマホは切らないで・・・」  ぼくは自転車を置いてこっち側から、彼女はあっち側から同時にトンネルに入った。 「今どこ?」 「トンネルの中、そっちに向かってるわ。あなたは?」 「ぼくも向かってる」  ぼくたちは電波が悪い中「今どこ?」って確認しながら、トンネルをお互いのいる方へ進んだ。暗闇で出会ったら、ちょっと脅かしてやろう。そして彼女が怖がって抱きついてきたら、初めてのキスをするんだ!
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