湖上の孤独

　ボートハウスに着くと、男は船着場のデッキに置いてあったウインドサーフィンのマストを立て、湖面にボードを下ろした。風は岸から湖の方に吹いている。男はボードに足を乗せ、穏やかなオフショアーの風にセイルを膨らませた。背中から風を受け船着場から離れると、切っ先を少し斜めに向け、クウォーターリーで湖の中央へと進んで行く。振り返ると、3頭のドーベルマンと、他にも数えきれない野犬が船着場に集まっていた。

　鏡のような湖面に一筋の軌跡を残しながら、男の操るウインドサーフィンは湖の中央にある浮き小屋へと向かって行った。