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世界中を襲った感染症が終息し、束の間の平穏な年が続いた。人類に対するウイルス感染については、万全の対策が施された。しかし、次なる危機は思わぬところに潜んでいた。
平和な日々、空前のペットブームが世界中で巻き起こった。よほどの紛争地域でない限り、ほとんどの人が犬を飼うようになった。そのほぼ全ての国々で、狂犬病の予防注射が義務化されていた。急激な需要の増加に製薬会社は沸き立った。動物に対しては厳格な薬事法の整備などはない。十分な治験もされないままインド、ロシア、そして日本や中国で狂犬病ワクチンが大量に生産され、毎年何の疑いもなく愛犬たちに接種された。
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