巷説:珍病ばなし

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「貴方、今どこにいるんですか?」 『おいおい、何回も電話するなよ。会社だよ。会社に決まってるだろう』 「ご、ご免なさい‥‥。でも‥‥本当ですか?」 『えーい、もー。おい中島君、ちょっと来てくれ』 『はい。何でしょうか?』 『妻からなんだが、信用しないんだ。君からはっきり言ってくれよ』 『あ、はい。もしもし?』 「あ、はい‥‥。すいません‥‥」 『お電話、代わりました。僕は中島という部長の部下の者ですが、鳥井部長はちゃんと会社で頑張っておられますよ』 「分かりました‥‥。すいません‥‥」 『おい、分かったな? 忙しいから切るぞ』  こうして夫は電話を切った。  ヨーコは頭をかかえてしまった。 「あー‥‥私って‥‥。どうして、こうなのかしら‥‥」  ふらーっと立ち上がると、 「気分転換に何処かへ行きましょう‥‥」
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