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「詩織・・」 そっと自分の体に回された腕に、葵は眠い目を半分開けた。 ン?何だ? 暑くて疲れた体を休めるため、折角お昼寝してたのに・・・ 「詩織、来たよ。ちょっと時間が経ってしまったけど・・ごめんね。待った?ほら、こっちを向いて。」 優しく体の向きを変えられる。 は? 薄く開けた瞳に、少年の顔が映る。 ヒ・・ 必死でベッドから転がり落ちる。床に座り込んだまま、自分のベッドで未だに図々しくも横になったままの少年の顔を凝視した。 「お前、誰だ?」 葵の言葉に、少年の表情が強張ったのが分かった。 「誰って・・・君こそ誰なんだ?此処は詩織の部屋なんだけど。」 「詩織?」 「もしかして、君は詩織の恋人?」 「詩織って誰?っていうか、此処、俺の部屋なんだけど。」 「君の?」 葵はそうそうと首を振った。 「あんた、部屋を間違えたんじゃないの?」 少年はむっくりと起き上がり、部屋の中を見回しているようだった。 「此処、302号室じゃないの?」 「そう・・・だけど?」 此れどういうこと?詩織は何処にいった? 少年は狼狽えた様に、もう一度周りを見回した。良く見ると部屋の雰囲気が随分違っている。
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