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カルテ4 最終サイン
「せっかくの
愛くるしい見た目が、少々
キツイイメージになります。
なるべくバランスをさぐります
ので、仮想イメージフェイスを
表示しますので、いいですか。」
カウンセラーが徐に、
ディスプレイに指をタップする。
表示されたのは
自分の今の顔。
「お願いします。」
アタシは答えた。
だって、
そうでしょ?
夜の住人を昼の中に見つけた。
今度は手の届く世界、
永久指名だとか、
爆弾行為だとか
ルールを警告するボーイは
いない。
ましてや
アタシはお嬢様。
欲しいモノは手に入れれる。
出来れば心ごと掴みたいから、
アタシは貴方の好みになる。
夜の世界で働くという
裏の貴方も
アタシは知っているという
優越感に酔う。
「では、だんだん瞳の角度が
上がっていきますね。いいなと
いうところで、止めます。」
カウンセラーの合図で、
術後の仮想フェイスへと変化を
するディスプレイのアタシ。
アタシはいつも向かいにしか
座れないのに、
貴方の隣で座っていた
あの女達の瞳を思い出す。
店の中で、
見てきた妬ましい
瞳、瞳、瞳、
そうだ!
あの 派閥の女の中で、とびきり
悪女顔で、
麗しい瞳!!
あれになれば きっと女達を
蹴散らせる。
昼の世界で、
貴方に選ばれる目になれる!
「止めて下さい!」
そこで笑うのは、庇護そそる
可愛いい顔はなくて、
極上の悪女顔へと変身した
アタシ。
(見つけた。)
ごくりと喉が鳴る。
捕獲する為の算段を夢想して
アタシの欲が焦れた。
「この目にします。」
こうして
夜の街で手を出せなかった
貴方を昼で捉える
アタシの
計画が始まる。
「きっと、これなら解らない。」
それで、良い。
「わかりました。それでは、
スケジュールしますので、
こちらの要項を同意してもらい
まして、サインになります。」
カウンセラーの出す書類に
サインをする。
「お願いしますね。」
アタシは可憐に微笑んだ。
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