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1.
六股男、土屋真。
私の隣で、もずく酢と白子のポン酢和えをつまみに、日本酒を飲んでいる男のことだ。
お酢攻め。妊婦なのか?などと思いつつ、話しかけずに放置する。
「伴内さん、俺のいくつ上でしたっけ?」
お酢攻め中のロク・マタオが、暇になったのか、興味もないくせに私の年齢を聞いてくる。
「さすが。自信に溢れてるね。」
感心して言うと
「はい?」
と片方の眉を上げて私を見る。
「『俺のいくつ上』って、自分を基準にして質問するなんて。」
「そうかな?」
「『俺の年齢は知ってるよね?君の年齢は?』ってことでしょ?」
「そういうつもりじゃなかったんですけど。」
「ちなみに土屋さんの年齢、知らない。」
「まじで!?」
本気で驚かれて、若干引いてしまう。
みんなが自分に興味あると思うなよ、ロク・マタオ。
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