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「伴内さん。」 「はい。」 「これ、今日中に完成させたいんだ。スクリプトの適用、頼んでもいいかな?」  見つめられて、声が出せず、ゆっくりと頷く。切なげな目と声が、まるで私を繋ぎとめようとしているかのような錯覚を起こさせる。心臓がドクドクと騒ぎだし、東堂さんから目が離せなくなる。 「どのくらい、時間かかる?」  あ・・・、と思って、自分の愚かさに涙が出そうになる。  切なげじゃない、困ってるだけだよ。なに1人でドキドキしてんだか。 「すんなりいけば、5分くらいです。」 「5分か。」 「はい。」 「すんなりいかなかったら?」 「それは、どのくらいかかるか分かりません。」 「そっか。」 うつむく東堂さんに笑顔で答える。 「大丈夫ですよ。今見た限りではすんなりいくと思います。これ、いったん共有フォルダに置いていいですか?自分の席でスクリプト入れてきます。」 「あ・・。」 共有フォルダを開こうとマウスを動かすと、東堂さんに手を重ねられて制止される。
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