4.

7/11
前へ
/150ページ
次へ
 土屋さんと店に入り、DVDの棚を見上げる。 「やっぱないかー。」 「かなり古くて人気ない作品だからね。」 「人気ないって言うなよ。」 土屋さんが苦笑する。 「すごくいいのにね。」 「なー。」 未練がましく、2人で棚を見上げてしばらく過ごす。 「伴内さんが好きな作品って人気ないの多いよね。」 「土屋さんが好きな作品でもあるでしょ。」 「うん。俺たち、変わってるのかな?」 「どうだろう?」 棚を見上げたままボソボソと話す。 「東堂さんも、すごい人気あるわけではないよね?」 「東堂さんをDVDかのように言わないでくれる?」 「実際、人気で言ったら俺の方があるよね?」 「そうかもね。」 何の話だ?と思って土屋さんの方を見ると、土屋さんもこちらを見る。 「なんで東堂さんなの?」 「うん?なんでだろうね。」 「まだ好きなの?」 「どうだろうね。」 「さっき、赤くなってたよ。」 「知ってるなら聞かないでよ。」 二の腕をグーで殴ろうとすると、「なんだよ、怒るなよ。」とよけられる。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加