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最期の夜
今晩で夜が終わる。私は机に向かっている。
明日、日が暮れても夜はやってこない、空は明るいままだ。
一週間前にニュースがいきなりがなり立て始めた。何とかいう星が爆発して夜空で輝くらしい。明るさは満月の数百倍だって。それが明日の夜明け前に起こる。爆発はいつまでも続き、ずっとずっと光り続ける。
最初、みんな信じなかった。でもニュースはそればかりやっているし、えらい人たちが何やら慌てているし、海外ニュースでもその話しかしない。それやこれやでどうやら本当らしいとみんなが思い始めた。でも夜がなくなるってどういう事か、誰にも分からない。
とりあえずお母さんが大事にしている月下美人の花が咲かなくならないかな。あれ臭いんだ。庭に植えてある宵待草が咲かなくなったら嫌だなあ、日が暮れたら咲く小さな黄色い花、可愛いんだもの。
インスタで誰かが、テレビやラジオの深夜放送はどうなるんだとつまらない事を書き込んでいた。まあ、私はテレビもラジオもほとんど見聞きしないから関係ないけど。その点ネットは昼夜関係無いからあんまりダメージ無いかもね。
校則の夜間外出禁止が無くならないかなあ。多分無理だろうな。
夜の町でたまるのが生きがいの子たちはどうなるんだろう。ちょっと悪くて怖いけど、居場所が無くなったら可哀そうだよ。
さっき夜食持ってきてくれたお母さんに聞いたけど、テレビもずっと大騒ぎしているって、でも結局誰にもこれからどうなるのか分からないんだよね。
まあ、明日学校はあるし、テストもあるって事だけは確実。
もう少し勉強したら、お風呂入って寝る。これも確実かな。
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