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今、どこにいますか?
僕の手から離れて自由に羽ばたいて飛んでいった君。
ドバト・・・いや、カワラバトと云うべきか?
雛から育ててきたんだもん。あいつ。
僕は空を見上げると、またあいつの楽しげに羽ばたいて空を飛び回る幻想の姿が見えてしまうよ。
僕の部屋の鳥籠には、まだあいつが居るようで。
ビニール袋に入れた、抜けた羽根や羽毛にあいつの温もりを感じる。
スマホのカメラに残っている、あいつの雛から成鳥になるまでの写真を感慨深く見つめて窓の外を見る。
鳥の1羽さえ飛ぶのを見掛けない、寂しい青空が見えた。
逢いたい・・・
もう一度逢いたい・・・
でもいいんだ。
あいつには、無限に拡がっている大空を飛び回るのが幸せだ。
こんな俺は、大空なんて似合わない。
だって僕は『罪』を犯した。
人間として絶対にやってはならない『罪』を・・・
明日、僕は裁判所へ行く。
どんなに重い刑を処しても覚悟は出来てる。
君を自由に羽ばたかせる為に、僕は自らの自由を捨てたんだ。
だから、あいつ・・・僕の鳩よ。僕の分まで気ままに・・・何処かで気ままに謳歌していてくれ・・・
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