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怪しいバイト
大学2年に入ってから坂山浩司は学校に行かなくなった。
友達も居ないし、大学にいくのが嫌だった
。
辞める数日前に仲がいい先輩に大学を辞める話をした。
一通り話を聞いた先輩はお金にこまったら《闇バイト》を見てと何故か、裏サイトを教えてくれた。
数日後、坂山浩司は大学を中退した。数週間程バイトもせず親の仕送りで生活をしていた。
1ヶ月は経った位に母から電話が来た
。
「あんた大学やめたんだって?それでいつまでプータローしてるの?お父さん怒ってるよ。10月までしか仕送りしないって。」
どうやら親は大学を辞めた事を知っていたようだ。
僕は言い訳を考えたが大学を辞めた事に対しての両親の怒りは収まらず、言われたい放題言われてしまった。
仕方なく、バイトやら派遣の仕事やら正社員やら探しにハローワークに行く。
だか、変なプライドと働く事に対して不快に感じてしまい、なかなか見つからない。
時間は過ぎるのが早く、10月に、なってしまった。そして、親からの仕送りがなくなった。
ヤバいなぁ。このままだと住む場所もなくなる。そう思っても中々行動に移せない。
収入のない浩司は、また仕事を探すのだが性格が災いし、いつまで経っても見つからない。
残金もあまりなく、公園のベンチにこしかけ、道行く人を見るだけの生活だ。
つまらない時はスマートフォンの動画を見るのだが不安で頭がいっぱいになる。
「コンビニで働くのは嫌だし、日雇いの仕事もきつそうだしなぁ」
仕事に対して元々なにをやりたいとかはなかった。ただやりたくない仕事だけは確かにあった。
大学も流されて入っただけでなにをやっても上手くいかない。そんな自分だから仕事探しもどこか適当で後回しにしていた。
そんな事を3か月程繰り返してると、遂にアパートを追い出されてしまう。
仕方なく余ったお金でネットカフェに行ったが直ぐにお金は尽きてしまう。
残り数百円しかない状態だ。そして自分自身がホームレスになってしまうとは今まで考えた事もなかったが、その時が来てしまった。
親に頭を下げてとも考えたが何を言われるか分からないし、正直怖いからそれも出来ない。
大学時代、唯一仲良かった先輩に頼むのも恥ずかしくてできなかった。
元々地方から大学進学のために上京してきた訳だから、かつての友人もこの地に居ない。だから、泊めて欲しいと頼む相手も居ない。
冬が来る前にはなんとかしたかったが、何もできなくなってしまった。
「ちくしょう。このままでは寒さで死んでしまう。腹も減ったし、大学辞めて直ぐに仕事探していればよかった。本当、大学やめなきゃ良かったぁ。こんなハズじゃなかったなぁ。今までも何やっても長続きしなかったし。」
思えば、中学生の時はサッカー部に入っても練習が嫌で直ぐ辞めたし、高校は何とか卒業出来たけど、学校はサボってばかりだったな。
一度だけアルバイトをしたけど、3日で雰囲気とか嫌になって辞める位、本当に根性とかもないやつだった。過去を思い出して悔んでも何も変わらないのは分かってる。
12月に入って公園のブランコに股がる。スマホだけは何故か使えた。スマホの料金は親が払ってくれてるのだろうか?
「このままだとスマホも使えなくなるかもな。」
そんな中、高校生がカップルで歩いている姿を見てなんだか寂しくなった気がした。
自分もああやって彼女とか居れば少しは違っていたのかな?今となってはわからないけど。
好きな人は居たが何も言えなかった。好きな人の前だと嫌われたくないとか色々考えてしまう。
だから彼女も作らなかった。いやっ、作れなかった。
そして、今こうなってはなにも出来ない。今は好きな人より自分をなんとかしなくてはいけない。夢見勝ちな言葉ばかり言う自分を辞めよう。
「でも、やっぱ俺は人前とか体力使うとか無理だしな。」
自分なりに色々さがしてるが、レジ打ちと肉体労働だけは絶対にいやだった。
「普通に考えてあるわけないよなぁ。しかも俺、バイトとしたことないしどんな仕事ならできるのかなぁ」
実際、探せばあるのだろうが何故か探せない、探そうとしない自分がいる。少しため息をつくと、「なんか楽な仕事ないかなぁ」結局、未だに現実を見れないでいる自分が怖い。
──そういえば、前に大学の先輩から《闇バイト》ってサイトもらったな?少し閃いたかのようにスマホを開く。
《お金にこまったら使って》と言ってたし、何かあるかも。すがるような思いだった。
サイトを開くと怪しい仕事がいっぱいあった。
「なんか危ない仕事ばかりだな?……」
「麻薬密売、人さらい、やっぱやめよう…かな?う~ん、でも一応色々見ておくか…」
しばらく見ると面白い内容のバイトがあったので興味が湧いた。
「なんだ、これ?給料1ヶ月0円~100万円。仕事内容は何も書いてないや。にしても0円~100万ってなんでそんなに差があるんだ?」
にしても闇の相談・・・闇ってなんだ?相談室ってなんだと思いながらも、
「んっ!?電話番号がある。それとこの名前は女の人?」
そう、連絡先には女の人の名前で電話番号が記載されていた。
《0Ⅹ0-8ⅩⅩⅩ-9ⅩⅩⅩ》
《美月 恵里香》
「女の人なら大丈夫か?でも本当に女の人が出るのかな?」
暫く考えてスマホの画面を見つめる。時間がまた過ぎていく。
「非通知で電話してみよう…男だったら切ればいい…」
───そして、それから数分経って
「よしっ...かけるぞ‼」
そして闇のサイトの美月恵里香って人が女性だと信じて電話をかけた。
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