美月恵里香

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美月恵里香

「もしもし、美月恵里香ですが、、、」  女の人の声だった。何だか大人っぽく綺麗な声で少し安心した気がした。 「あ、あ、あの…、や、闇サイトの事で電話したのですが」 「闇サイト?」 はぁっ!?と言うような声で返してきた。 「はいっ…闇の相談室って求人がありまして」 少し沈黙があった後、突然女の人は笑いながら 「闇の相談室…?ああ、あれね!?あの男の所か」 ───あの男? 「闇バイトの事でしょ!?かなり昔の求人なんだけどなぁ、よく見つけたね?ってか私消さなかったっけ?ちょっと話し長くなるし、今、まだ仕事中だから。○○の近くの○○まで来れる?」  行った事はないが記憶にある場所だ。 「あっ!?ごめん。ってか、場所分かる」 「大丈夫です。分かります。」 「じゃあ、その場所で待ってます」 と言われすぐに電話を切られた。  抵抗はあるが恵里花って女の人が居る場所に向かうことにした。  とりあえず電車に乗らないと時間がかかる場所だなぁ。歩いては流石に無理だ。   なんてことを考えているけど、電車賃払ったらもうなにも買えない。  最後の希望だと思って電車賃に全財産を使った。  改札口を抜けると少し緊張してきた。やがて電車が来る。電車が止まりドアが開く、人が降りて、電車に乗るとき、何故かここには帰ってこれないような気がした。  しばらくして「次は ○○駅○○駅」ああ、着いたか?怖いなぁ。どんな人なのか?頭の中々はごちゃごちゃしていた。  そして【○○駅】に着く。電車を降りた時、何故か今日は周りの視線が気になってしかたなかった。  改札を抜けて階段を降りて、数十メートル先にコンビニがある。その向かいにある喫茶店が待ち合わせ場所だ。  待ち合わせ場所に近づくにつれ恐怖が沸いてきた。  少し歩いてコンビニの前の信号機で信号が変わるの待っていた。ふと喫茶店の駐車場をみた。  駐車場には《いかにもヤバそうな人が乗ってます。》と言わんばかりの黒い高級セダンが停まっていた。  やはりヤバい人なんだ!と思っても、帰る事も出来ない。もうどうにでもなれっと思い喫茶店の入り口まで向かう。  まず深呼吸をして「よしっ!」 〈カチャ〉  中に入ると、レトロな感じのお洒落な店内だった。 (なんて綺麗なお店なんだろう?)  観葉植物等もあり、映画のロケで使われていてもおかしくないお店だ。 「いらっしゃいませ」その声の後に店員に訪ねた。 「女の人と待ち合わせをしているのですが、、」  すると、店員がハッとしたような顔で、 「あちらのお客様でしょうか?」と案内してくれた。  後ろ姿しか見えないが、金髪に近い色の長髪の女性が座っていた。首やら肩にはタトゥーが入っている。  女性なら大丈夫。意を決して声をかけた。 「あのぅ…電話したものですが、美月さんでしょうか?…」  すると、女の人はこちらを向いた。 「そうだけど……ああ、さっきの電話の人?来てくれたんだね?まあ、立ってるのもなんだからそっちの席に座って。」  女性の前だと緊張してしまうので、なるべく美月恵里香を見ないように椅子に座った。なにも話さない自分とは逆に色々質問をしてきた。 「そういえば、電話した時どこに居たの?遠くだったら悪いからさぁ。それと君若いねぇ。何歳?後、名前聞いてなかったね?名前は?」  下を向いたまま答えた。 「さっきまで○○にいました。自分はまだ20歳になったばかりです。な、名前は浩司と言います。」  ちらっと、顔を上げて女の人を見た。  女の人は腕にもタトゥーがあり、ピアスも沢山付いてる。少し化粧は濃いめだったが、綺麗な人だった。同時に緊張が最高潮を向かえた。 「そっかぁ、私は30歳過ぎたんだよね。20歳に戻りたいわ。いいよね?若いって。って本題から反れてるね。ごめん。じゃあ、単刀直入に聞くね。闇の相談所で働きたいの?」 「いえっ!?仕事内容とか書いていなかったのでまだ決めてはないです。ちなみにどんな事をするんですか?あっ後、何故あんなに給料が違うんですか?」  美月恵里香は困った表情をしているので、すかさずまた質問をした。 「やっぱり危ない仕事なんですか?」 そう聞くと 「ちょっと今は話せないかな?まあ、この店私の店だから別にいいんだけど、どのみちあなたに選ぶ権利はないからさ。だからあなたをある男の所に連れていくの」 「えっ!?選ぶ権利がないってどういう事ですか?」 「そのうち分かるよ」  恵里香は立ち上がって「時間がないなら早くして!」オドオドしてる自分に苛立ったかのように言った。  にしても、意味が分からない。よく分からない仕事をするのか?しないのか?なんてしないに決まってる。それを選ぶ権利がないなんて。  本当はこの場で帰りたい。だが、帰る場所も食べる物もない僕に言える言葉は1つしかなかった。「分かりました。」素直にそれを言うしかなかった。  すると美月恵里香はちょっと気を良くしたのかニヤっとして、「なんか飲む。せっかくだからうちのコーヒーでも紅茶でも飲んで行きなよ?」って聞いてきた。  お金がないから無理と伝えると、そんなの別にいいと言っていたので遠慮なくアイスコーヒーを注文した。 「アイスコーヒー飲む時間だけだからね。」 「は、はい」 「アイスコーヒー好きなの?そういえばあいつもアイスコーヒー好きだったな?アイスコーヒー飲みながらタバコ吸って何か考え事してるあいつ。凄いかっこ良かったな。」  彼氏の事なのか?わからないけど、そう言った彼女はどこかせつなそうだった。 「じゃあ、それ飲み終わったら私の車に乗ってくれる?車のエンジンつけてくるから車で待ってるよ。相談所まで連れてくから」  彼女は車に向かっていった。僕は少しゆっくりアイスコーヒーを飲んだ。  アイスコーヒーを飲み終わり、席を立つと美月恵里香が何故かこっちに戻ってきた。 なので美月恵里香に、 「あっあの、美月さん。アイスコーヒーありがとうございます。後、なんだかすみません」 「さっきも言ったけど私の店だし、気にしないで」  そして美月恵里香は店員と何か話してから外に出た。僕も後を追って外に出た。
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