美月恵里香

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美月恵里香

 外に出ると美月恵里香は車の左側にいて、 「後、恵里香でいいよ?美月さんじゃなく恵里香って呼んで。それとこれが私の車だから、助手席は右ね」  僕は車を見た。その車は先程いかにもと思っていた車だった。とりあえず右側の助手席に行き車のドアを開けた。 「座って」 「すみません。お願いします。」シートに座って、美月恵里香をチラッと見た。 ──やはりこの美月恵里香って人はヤバい人なのか?不安がよぎる。と同時に車の中は甘い香りがしており、運転する美月恵里香は色っぽい。不安より何故か興奮が先走ってしまう。  すると恵里香美月はニコっとしながら、 「どう?キャデラックは?乗ったことないでしょ?」  そりゃ、ある訳ないでしょ?ってツッコミをいれたくなる。 「ないですね。高級車なんて一度もないですよ?どうやって買ったんですか。後、恵里香さんはこのお店も1人で立ち上げたんですか?」  聞いていいのか分からないが気になって仕方がなかった。すると恵里香さんが後ろの席に指を差した。そこにはチャイルドシートが2つあった。 「子供居るんですね。2人…ですか?って事は旦那さんが買ったって事…ですよね?」  そう聞くと美月恵里香は指3本立てる。 「子供は3人だよ。車は旦那?ではないけどその子達の父親が買ってくれた。いいでしょ?本当は小さい車が良かったんだけどね。それとあの店の事はそのうち分かるんじゃない?」  子達達の父親なら旦那か元旦那ではないのか?ますます気になってしまう。 「じゃあ、元旦那さんなんですか?結婚はしてたんですか?」 と聞くと少しイラっとしたのか表情が強ばっているのが分かる。 「結婚して…まあ、いいじゃん!?なんて言うか、元旦那って訳でもないし、彼氏でも旦那でもないから。それより闇の相談所の事なんだけどさぁ。聞きたいでしょ。」  僕はこれ以上は何も聞かない方がいいと思い頷いた。 「とりあえず仕事柄内容ね。まあ、大した事ないので言えば、そうだねぇ、罪の偽造とか?誰かの罪を違う誰かにかけたり」  罪の偽造?よく分からないな?俺にはさっぱり分からない。 「まあ、遺体処理とか殺しとかもやるみたいだよ?」  んっ?遺体処理……人殺し……そんな事も俺はするのか? 「まあ、大変だけど頑張ってね?後、報酬の1/3があなたに渡る。報酬は難しい仕事なら多くもらえるね。まあ、何かあれば、あなたはきっとあの人が守ってくれるから大丈夫。」 ──────守ってくれる? 「守ってくれるって本当ですか?」 「分かんないけどね。でも、まだあいつがお金なかった時。この仕事をする前は、すごく優しくて、そんなあいつが良かったな?いつしか変わってしまったけど。でも今もきっとなんだかんだで優しいはすだから」  少し意味深な言葉を言った。だが、人殺しとかをする人が優しい訳がない。だが1つかなり疑問になった事があった。聞こうか迷ったが聞くしかない。 「もしかして、恵里香さんの子供の父親って相談所のオーナーですか?」  聞いた瞬間、美月恵里香の顔つきが少し変わった。 「はあ?…………ちがうから。変な事きかないでくれる?」 「いやっ、でもそんな感じが」 「だから違うっていっんだろ?」  これ以上何かを言えば『キレる』と思ったため僕は何も言わず黙り混んだ。  しばらくすると 「そういえば、履歴書とか持ってる?」  えっ?そんな仕事の場所にも履歴書なんて必要なの?って思ったが、 これってもしかしたらチャンス? 「いえっ履歴書とか持ってません。ないとダメなんですか?ダメなら諦めますよ?」  諦めるも何もやっぱり僕は帰りたい。これなら帰れる?誰が人殺しなんてするかよ?履歴書ないから終わり。やったね。なんて思っていたが、 「じゃあ、私コンビニで買ってくるから車の中で書いちゃって。写真とかはいらないからさ」  僕は膠着した。えっ………いやっ買わなくていいから、ってか写真はいらないのかよ?どんな仕事だよ!?  そんな事思ってると車はコンビニへ。そして恵里香さんがニコッとしながら 「逃げたらどうなるか分かってる?あなたの個人情報は全て知ってるの!あなたは既に闇の住人って訳。どこに逃げてもあなたは捕まるし、捕まったら最後だからね」  と言い残し車から出て、コンビニに入って行った。  5分後、恵里香さんが肉まんとピザまんを2つずつ、それと履歴書、ボールペンを買って戻ってきた。 「じゃあ、履歴書書いちゃって。履歴書書き終わったら、肉まんとピザまん食べて。昔好きな人がよくコンビニ行くと買ってくれたの。それ思いだしたら買っちゃった」  また気になる事を言ってるが履歴書に集中しなくては。  ───完成。  にしても何の資格もないんだなぁ。普通の会社じゃどのみちアウトだったのかな?そんな事思いながらも履歴書を眺めていたら、 「見せてぇ」 美月恵里香が履歴書を奪うように取って、履歴書を見ていた。 「へぇ、大学行ってたんだ?なら頭いいんじゃない?私なんか高校すらろくに行ってなかったし。まあ、いいや。肉まん食べて」  僕は肉まんとピザまんを食べて履歴書について言った。 「大学は大した大学ではないので頭はよくないです。資格もないし、そもそも大学は中退したので高卒と同じなんですよ」  恵里香さんはよく分からないみたいだったが「まあ、いいや」と行って再び車を走り出した。  しばらく進んでいると家もなくなり、山道に入った。こんな所にあるのかよ?って思ってしまうくらい山奥まで行く。  でも何故か道は細くならない。誰も、来ないような山道なのに道路は綺麗にされていた。  喫茶店を出てから3時間は経ったであろうか?あたりは暗くなっていた。  そして道がなくなる。行き止まりだ。だが不自然にも行き止まりの横に大きな駐車場がある。  大きな駐車場の向こう側に古い家が3件なにかを隠すように大きな冊同士で繋がって建っている。  不思議な光景が目の前に広がっていた。その光景に釘付けになって見てると、 「じゃあ、降りて。ここが闇の相談所。途中まで案内してあげるから早く降りて。」  僕はさっと降りた。 「闇の相談所のオーナーは3件並んでる、一番古い建物の更に向こうにいるよ。」 「まあ、オーナーって言っても従業員なんか居ないからそいつ1人なんだけどね」  そう言いながら真ん中の一番古い建物まで歩いた。ドアは昔ながらの引き戸だった。  そして中に入ると何もない只の道だった。ただ、反対の入り口らしき場所にはゲートと頑丈そうなドアがあった。その頑丈そうなドアに向かって歩き出したら急に恵里香さんが話しかけてきた。 「オーナーの名前はヴォイク。本名は教えられない。そして絶対に逃げない事。後、オーナーの指示は絶対だから。言うことを聞かないと殺されるわ。それと本名も気になっても決して聞いてはいけない。分かった?これだけは覚えておいて。後の禁止事項は彼が話すと思うし。」 ・・・・・禁止事項。 「それとそのドアは金属とか液体とかに反応するから、心当たりあるものは横にある箱に入れて。不審者でない確認が出来たら、あなたは入る事が出来る。私はこの先へはいけないから、後は1人で行ってね。じゃあ、ヴォイクによろしくね」 そして俺に手を振って 「私は早く子ども達のお迎えに行かなきゃいけないから、じゃあお元気で」 そう言って恵里香さんは僕1人残して、駐車場へと戻って行くのであった。
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