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現実に戻って
アパートの入口の扉を開けるとそこには、中学生くらいの新聞少年が立っていた。
『朝刊です』
『あ、ありがとう…』
『すぐ読んでください』
『あ、はい…』
ぼくは、新聞は取っていないが、新聞が配達されて来た。言われた通りにすぐに新聞を開いた。中をめくると宝くじの当選番号欄が目に入った。
ズボンのポケットから宝くじを取り出して、番号を確認した。
『えー、当たってる…いちおくえん!?』
ぼくは、これで全てを清算できると思った。お金さえあれば、会社もやめれるし、彼女の機嫌も取れる。そして、安心したら眠くなり、ベッドで寝てしまった。
その後の夢の内容は思い出せなかったので、これで終わりなんだろうと思った。
「あれ? 今どこにいますか?は、何で呟いたんだろう…」
その時、スマホが鳴った。直属の上司から電話だったので、慌てて出た。
「お、おはようございます…」
「ああ…おはよう…出勤したらすぐに社長室に行くように…ほんと、大変な事をしてくれたな…」
「申し訳ごさまいませんでした。承知しました…」
ぼくは、夢なんて思い出してる場合ではなかった。昨日、大失敗をやらかしてしまっていた。
それは、会社の代表電話に1本の電話を入ったので、ぼくが取ると、何と社長からだった。そして、凄く緊張してしまった。
「君、すまんが、運転手に車を…ヤ公会堂に来るように言ってくれ…」
「あっ、はい、わかりました…」
この日は、社長秘書の麗子さまも外出しており、社長は何かの音楽会に行ってると噂で聞いていたので、社内待機していた運転手さんに急いで、伝えに行った。
「社長から、シブヤ公会堂に車を手配するように電話がありました…」
「今日は、麗子さんもいないし、社長も携帯を忘れていって、予定がわからず助かりました。シブヤ公会堂ですね、すぐに向かいます」
ぼくは、大役が終わりほっとして、また仕事にかかった。そして、しばらくすると何か、社内がばたばたし始めて、ぼくのところに上司がやって来た。
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