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恋と人捜しと・・・
白田ひかりと七日町で会った。
東珠乃がどこに消えたのか協力を頼み、少し語る。
「岩田は私のこと好きなの?恋人になりたい?」
白田ひかりは俺に近づいて言った。
白田ひかりのつけている香水の香りがドキリとさせる。美しい顔を俺は見つめる。
「好きだよ。なりたいよ。」
俺は答える。
「私のこと知らないんだね」
白田ひかりはその言葉を残して去っていく。
ワタシノコトシラナイ?
白田ひかりが何を言いたいのかわからない。結構な仲だと思う。
内緒にしている事でもあるのだろうか。
どんなことだろう?
白田ひかりのことを心に思ったままあちこち歩く。寒くて雪に冷えてくる。東珠乃は?何故突然いなくなったんだ?東家の家族たちも珠乃さんがいなくなって警察に救助を求めていた。
何が起きたのだろう。
東珠乃の消えたところを知っているわけがないけど捜す警備員や警察官や東家の方々。
なんだか大きな問題になってる気がする。
それでも雪を歩く。
俺は駅前を歩いていた。
駅前にも人は多く雪には足跡がついている。
俺は七日町から駅前まで歩いてくる間気になる事があった。
黒いコートを着ている男がゆったりたが俺の後ろにずっと同じコースできた。
つけてきたのか?
だがつけられることがない。
駅前にきて公園に入り煙草を吸いながら休む。
男が俺の視線に入る。
何故いる?
俺をつけてきたのか?
俺は警備員だ。何故つけるのか?つけていないのか?はっきりしよう。
俺は男を睨む。
男は俺を見つめる。
「なんだ?」
気持ち悪い男だ、見つめるなよ。
「あ、俺は玉田と言います」
「そうですか」
「そうです。東珠乃を捜しているんでしょ?」
男、玉田の言葉に俺は驚きの顔をした。
東珠乃のこと?意外なつけてきた男、玉田。
「あのですね、東珠乃は捜さなくていいですよ」
玉田は言った。
え?
「捜してるのはあちこち捜しているんですよ。警備も警察も東家の両親も。」
「でももう警備は辞める決定ですし東家には報告しますので」
「なんだそりゃ」
「東珠乃の決めたことですので」
「玉田さん?でしたよね。なんか映画でも始まるんですか?東珠乃が誘拐でもされてサスペンスな映画?」
「違います。言いたくないんですけど口福の会に東珠乃は入るんです」
口福の会?なんだそりゃ?
「そういう事ですので」
玉田という男はサッと走り去る。
冬に慣れた走りだ。
俺は煙草を咥えて火をつけて考えた。
煙草を吸いながら。
口福の会?東珠乃が入る?玉田は関係者?
歩きながら考える。
東珠乃の身に何かあった、口福の会という玉田の会に強引に戻された?
だとしたら、口福の会にいる。
俺は口福の会を捜す事にした。
霞城セントラルにまで来た。
早くも霞城セントラル1階広場にはツリーのクリスマスライトになっていた。
恋人たちが少し多い。
羨ましい思いがある。
「白田、恋人できた?」
白田ひかりの隣にいる男が言った。
「できない。女性だと完全に思ってるんだ。男だと知っている男はそれでもいいってアンタがくる嫌いだよ」
白田ひかりはそう去っていく。
男は悲しい顔で白田ひかりを消えるまで見る。
口福の会を知らない俺は霞城セントラルに来てしまっていた。
白田ひかりとエスカレーターを乗る手前で会った。
ついてる。
「岩田」
白田ひかりは驚いていた。
俺も驚いた。そして喜びが包みこむ。
「白田、教えてくれないか?」
私のこと知らないんだね。と言われたことを思い聞いた。
「岩田、そんなに知りたいんならいいよ。知って気持ちが変わるよ」
白田ひかりは言った。
「なんで?」
わからない。
気持ちが変わる程の秘密って何だ?
俺にはまるでわからなかった。
「岩田、私ね、性別男なんだよ」
白田ひかりは真面目な顔で俺を見つめて言った。
ん?え?白田ひかりの顔も声も女性にしか見えない。美しい女性だ。男?どこが?
「本当だよ」
白田ひかりは言った。俺は変な顔をしていたのかもしれない。
白田ひかりが男性というのは真実なのか?
俺を諦めさせるためか?どうなんだ?わからなかった。
「女性にしか見えない」
俺は言った。
「でも男性なんだよ。ジェンダーレスとか言うんだっけ?そういうの」
白田ひかりは言った。
「ジェンダーレス・・・」
テレビに出る女性にしか見えない美しい男性が思い出された。あれか?
「気持ち変わったでしょ?」
「いや、わからない。パニクってて・・・」
「じゃ、落ち着いたら、どうなったか教えて」
白田ひかりはそう言うと去っていった。
茫然自失の俺。
しばらく茫然自失していたが、それどころじゃない。
俺は霞城セントラルから歩きながら東珠乃の件と白田ひかりの件が頭の中で暴れ出す。
いつの間にか雪道を歩き、いつの間にか七日町にいて、いつの間にか喫茶店で珈琲を飲みながら煙草を咥えて火をつけようとした状態で動いていなかった。
ん?と俺はこの喫茶店にどうやって来たのかも意識していなかったが2階の窓に口福の会という文字を思い出される。あれ?口福の会ってなかったか?東珠乃の入る口福の会って言ってたよな?俺は東珠乃の件に集中する。確かに口福の会に東珠乃が入ったと言ってたし口福の会を探していたし東珠乃を探していた。ここか?ここだな。
俺はさてどうしようと火をつけた。
煙草を吸う。
煙を鼻から出す。
さて、2階に行ってどうしよう。
東珠乃いますかと聞く?
玉田に会いにきましたと言ってから東珠乃をどうしたか聞く?
口福の会とは何をしている会なんだ?
危険なのか?
安全なのか?
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