ワタシ

　正樹は幼い頃どちらかと言えば劣等生だった。成績はいつも下から数えて十番以内で運動も苦手だった。この頃の彼を知っている人は、まさか彼が世界的に有名な外科医になるなど想像も出来なかっただろう。
　そんな彼を変えることになったのは、高校時代に出会った一人の女生徒だった。彼女の名前は柿谷恵里香。日本人の母とイギリス人の父を持ちハーフ独特の美貌から学校中の男子生徒の憧れの的だった。父親がイギリス人ということで英語もペラペラで成績も優秀だった。ただ誰からもチヤホヤされて育った彼女の性格は少々曲がったところがあった。