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ビジター
病院の前には、配達に来たにしては豪華すぎる宇宙船が停まっていた。
「患者が居るんです。もう少し静かに来てくれませんか」
「まぁまぁ。で、彼の様子はどうかね?」
中から研究所長が降りてくる。
「ちょっと待ってください」
鳶色医師が「殺菌」のスィッチを押す。
天井から容赦なく白い霧が噴出した。
「君ィ、量を考えたまえ」
「すみません。でも規則ですので」
「ったく、で?」
「順調だと思われます。運動はまだ無理ですが、歩行も、言葉も、そして食事も」
「あーつまり色々できるようになったんだな」
ひらひらと手を振り、所長は医師の言葉を遮った。
「ではその調子で続けてくれ。僕は今日、これから外せない用事があるんでね」
「ご覧にならないのですか?」
「別にいいんじゃないか。見た目は大して変わらないだろう?」
所長はそのまま帰っていった。
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