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「よくがんばったね。心拍も落ち着いてきた。一日様子を見たら、窓の部屋に行こう」 僕は思わず鳶色医師(とびいろいし)に抱きついた。少し驚いたようだったけれど、彼もしっかり受け止めてくれた。 「ドクター! 誕生日ってこんな日なのかな」 「‥‥‥かもな」 やっぱり!  プレゼントをもらうってきっとこういうことなんだ。 その日、僕は初めて夢を見ることができた。 アリサがスプーンを並べてる。 僕がそこにお皿を運ぶ。 キッチンには父さんと母さんがいる。 いい匂いがする。 夢の中なのに、大好きな匂いだとわかったんだ。 僕は母さんに聞いた。 「ねぇ、今日のご飯もしかして!」 母さんがしゃべった。 「?」 聞こえない。
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