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「やっ……だって、私たちまだ付き合ったばっかだし!!」
あわあわと慌てる姫花を見て、
「ふふっ……姫ちゃん可愛い」
梅本は楽しそうに笑う。
「……因みに、梅ちゃんのとこは?」
姫花がガラス製のティーカップの取っ手を指先でぎゅっと握り締めて、恐る恐る訊ねた。
「私はもう……付き合ったその日に有無を言わさずだったから」
梅本が一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、またすぐにいつもの笑顔に戻る。
「市川先輩なら、怖がらなくても優しくしてくれると思うよ」
「でも、私たち初めて同士だから……」
もじもじしながら答えた姫花に、
「あ……」
梅本は哀れみの眼差しを向けた。
初めて同士は、それはもう悲惨だと聞いたことがあるから。
かける言葉をなくした梅本に、
「あの……そういう雰囲気になった時にどうすればいいとか、その辺りのことを教えてもらえると嬉しいんだけど」
相変わらずもじもじしたままの姫花が、顔を真っ赤にしながら訊ねた。
「姫ちゃんは、先輩とそうなりたいの?」
一番大切なのは姫花の気持ちだと思うから、梅本はそんな質問で返事をした。
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