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ボーイズトーク
姫花が梅本とそんな会話をしていた一方で、その頃の唯はというと――
「あ。唯ぃ、喉渇いた。お茶取って」
姫花の双子の弟である頼斗が唯の部屋に遊びに来てしまったので、そのもてなしを強要されていた。
厳密に言うと、唯の部屋に着くなりテレビゲームをおっぱじめた頼斗が画面に集中しているので、少し離れた場所にあるテーブルの上のお菓子やお茶に手が届かず、唯を自分の手足のようにこき使っていた。
「そういや、姫花から聞いたんだけど……ついに行くんだな。例のテーマパーク」
頼斗はコントローラーをポチポチと連打しながら、唯の方を見もせずに言う。
「全アトラクション制覇するんだってすげー張り切ってたぞ」
頼斗の台詞を聞きながら、唯はその時の姫花の表情を思い出す。
蒼い目をキラキラとさせる彼女は、やはりとても可愛くて――
「なぁ、頼斗」
唯は、ずっと1人で悶々と悩んでいたことを頼斗に相談する決意をした。
「ホテルでの宿泊をオーケーしてくれた女の子ってさ……どういうつもりなんだろ?」
唯の質問に、頼斗のコントローラーの音が一瞬だけ止む。
が、すぐに思い出したかのようにまた連打音が聞こえ始めた。
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