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「ホテルってラブホのこと?」
質問を質問で返した頼斗に、唯は慌て始める。
「まさか! パークに隣接してるリゾートホテルだよ」
そりゃあラブホの方が経済的には助かるけれど、初めてのお泊まりデートには使いたくなかったから。
第一、そんな場所の名称を姫花の前で口に出したくはない。
「まぁ……場所はどこであれ、男とひとつ屋根の下で過ごすつもりなら、それなりの覚悟はしてるだろ」
姫花だって、“そうなるかもしれない”という可能性には気付いているはずだ。
そう思っての頼斗の台詞だったが。
「覚悟……」
その頼斗の言葉を、唯はオウム返しに呟く。
自分と過ごす時間に対して姫花にそんな風に思われるのは、唯としては全く望んでいない。
姫花と一緒にいたいから、姫花に喜んでもらいたいから誘っただけなのに。
それをそんな、唯に襲われることを想定して怯えながら過ごすなんて……
「……」
ショックで黙り込んだ唯を、頼斗は初めてテレビから視線を外してちらりと見た。
「前から気になってたんだけど……唯ってまだ童貞?」
突然の失礼な質問に、
「……何だ、藪から棒に」
唯はムッとして頼斗を睨みつける。
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