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そこは、唯でも知っている程の有名な人気店で。
少し前に販売が開始された『ロイヤルミルクティープリン』というお菓子が絶品らしいと聞き、紅茶好きである唯も密かに気になっていた。
「姫花の誕生日ケーキはそこで食べようか」
姫花の喜ぶ顔が見られるのなら、甘いものが苦手だろうと平気で食べられる。
本気でそう思っている唯は、にっこりと優しい笑みを姫花に向けた。
「いいの?」
「俺も、その店なら気になるお菓子があるから」
「やったー!」
両手を上に突き上げて喜ぶ姫花は、本当に可愛らしい。
そう思って、にんまり緩んでしまいそうな顔を唯が必死に引き締めようとしていると、
「じゃあ、10時に映画館前で待ち合わせでいい?」
姫花が突然そんなことを言い出した。
「……ん? 現地集合?」
家が近いのだから、一緒に行くのが当然だと思っていた唯は面食らった。
「いつもみたいに、俺が迎えに行くぞ?」
一緒に学校へ行く時はいつも、姫花の暮らすマンションの正面玄関前が待ち合わせ場所だから。
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