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その男たちの声に、姫花が後ろを振り向く。
初めて間近で姫花の顔を見た彼らは、
「やっば……可愛い」
「見たことないくらい美人!」
瞬時に顔を赤らめた。
「……」
“可愛い”、“美人”と表面的なものだけを褒める言葉を嫌う姫花は、無言で眉間に皺を寄せる。
「ねぇ。彼女、嫌がってるじゃん」
「その手、離してやれよ」
ナンパ男2人が、何故か姫花の彼氏である唯にそんなことを言ってのけた。
「……」
つい先程まで青白い顔をしていた唯が、姫花の手を掴んだまま黙って立ち上がった。
その目つきは、
「ゆ、唯……?」
姫花が怯える程に鋭いもので。
「ねぇ。キミ、そんな地味な男なんてやめてさ。俺らと回ろうよ」
「その方が楽しいよ」
男たちの手が、姫花の肩に触れそうになり――
唯が掴んだままになっていた姫花の手を強く引き、よろけた彼女の体を自分の胸で抱きとめた。
男たちに見せつけるように姫花を優しく抱き締め、
「唯!?」
顔を真っ赤に染める姫花には、とりあえず優しい笑みを向けて。
それから、男たちの方を鋭く睨みつける。
「俺たち、今イチャイチャしてるところだから邪魔しないでもらえる?」
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